朝井リョウはどんどん変化していく。
でも、行間に埋め込まれた、赤ん坊の爪のような薄くて鋭い刃は健在なので、読み進めるに連れてどんどん細かい切り傷が増えていく。ヒリヒリと、痛くてたまらない。
特別な場面はないのに、ずっとドキドキして、怖くてたまらなかった。
「学級委員」の立場を守ろうとする心理。特別な物語を求める心理。「自分のため」を押し隠そうとする心理。
どれもみな思い当たることばかりで、だからドキドキするんだろうと思う。
「待っていても革命なんか起きない」という言葉がいちばんぐさっときた。誰も他人のためになんか、革命を起こさない。変えるのはいつも自分だ。
ダークで、やりきれない物語の底に、そっと置かれた励まし。「そこにあるのは、そのときのその人自身」
ぶるっと心が震える一節だった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
新刊
- 感想投稿日 : 2014年4月2日
- 読了日 : 2014年4月2日
- 本棚登録日 : 2014年4月2日
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