盛り上がりそうで盛り上がり切らないもどかしさがずっとつきまとう。
主人公が元人気歌手であるという設定は、のちに婚約者と瓜二つの男と恋に落ちるための伏線なんだろうか。音楽が絡んでくるのはラストシーンだけなので、ちょっと取ってつけたような感じがしてしまう。
夫の人物造型にももどかしさが残る。彼があんな行動に走ったのは、単に妻への劣等感からだけなのだろうか。そのあたりの説明が、主人公の罪悪感でごまかされている気がする。
永遠子の死の真相を探るということで始まった探偵ごっこが、いろんな人の欲が絡まってうやむやになる。現実世界ならそういう結末もあるだろうが、ミステリーとして読むとすっきりしないのだ。
読んでいる間はずっと興味をひかれて読み続けてしまうのだが、主人公の恋の結末もなんだか不発で、うーん、とにかくモヤモヤする。
少なくとも私なら、ああいうことをした夫とはやり直せないと思う。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
再読
- 感想投稿日 : 2012年5月30日
- 読了日 : 2012年5月30日
- 本棚登録日 : 2012年5月30日
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