スーザン・ソンタグその人を知らないのに、どこかの雑誌の書評で見かけて以来、この本が心に残っていた。ひとつにはその装丁ー モノクロームの淡い階調のなかで、強い眼差しがひときわ印象的な彼女に、捉えられたのだろうと思う。
彼女の顔立ちや、(書評からイメージした)信条、態度に、なんとなく男勝りで直線的な人物像を頭に描いていたけれど、この若き混乱の日々を綴った文章を読むと、早熟ではあれ、まだコンプレックスに揺らぐ自己像を扱いかねている感じを受ける。
彼女がのちに作家、批評家としての「ラディカルな意志のスタイル」を獲得するに至る過程ー 醜くうごめいていた芋虫が、さなぎとなって内部で劇的な変態を遂げている、そんな生命の記録のようにして読んだ。この一篇に限れば幾分肩すかしではあったけれど、彼女の脱皮や飛翔のその時まで、今後の続刊から見届けたいと思う。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2012年3月21日
- 読了日 : 2012年3月20日
- 本棚登録日 : 2012年3月2日
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