経済学の歴史 (講談社学術文庫)

著者 :
  • 講談社 (2005年3月11日発売)
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感想 : 15

「経済」と聞いて、眉をしかめる人は多いでしょう。
なんか難しそう。
よくわかんない。
そんな感じで。

しかし、現代社会において、経済は避けては通れないものです。
本書はそんな経済の歴史を、易しく面白く書いた傑作だと思います。

大学でのテキストとして使われていたこともある本なので、難しいところもありました。
アタマが良くないので、だいぶ難解に感じましたが、それだけの価値はあったと思います。
経済というものの本質が、おぼろげながらつかめた気がするので。

まだ、自分の言葉では上手く語れそうもないです。
本書の中のいくつかの言葉を引用しておきます。
時間があれば、本書を一読してみて下さい。<blockquote>・John Stuart Mill
 「事実、経済学はいまだかつて人類に、自分だけの見地から忠言を与えようなどと大それたことを実行したことはない。もっとも、経済学だけしか知らぬもの(従って、実は経済学をロクに知らぬもの)が、あえて世に忠言を与えようと分不相応な大望を起したためしはあり、そのばあいその連中は、本当に自分の持つ知識だけでそうするよりほかなかったのだが。」

 「実地の目的からすれば、経済学は社会哲学の多くの部門と密接に絡み合っている。およそ実問題にして、もっぱら経済学的前提のみから解決しうるというものは、純粋の経済問題に最も近い性質をもっているものですら、単なる些細な事柄を除けば、おそらくあるまい。アダム・スミスはこの真理を決して見失わず、経済学の応用に当たっては、純粋の経済学が与えるところの考察とは異なれる考察、それよりもはるかに広大な考察に訴えているのであって、それであるから、彼は、経済学の諸原理を実地の目的に対して駆使しているという、充分な根拠のある感じを人に与え、それによって『諸国民の富』は、数々の経済学に関する著作の中にあって、ひとり一般の読者に親しまれたばかりでなく、世事に通じた人々や国会議員の人たちにも深い感銘を与えた、唯一の著書となったのである」</blockquote><blockquote>・Joan Violet Robinson
 「ある経済学者のイデオロギーを好まないからといって、その理論から学ぶことを拒否するのは愚かなことである。また同時に、そのイデオロギーに賛成するからというのでその人の理論に信をおくことも、賢明ではない」</blockquote><blockquote>・Marie Esprit L&#233;on Walras
 「条件の平等と地位の不平等」という有名な正義の原理。
 個人は自由に行動して、その才能と努力に応じた不平等な地位を獲得する権利を持っている。しかし、個人がその才能や努力に応じた不平等な地位を獲得することが許されるためには、まず、国家が個人に条件の平等を保証しなければならない。</blockquote><blockquote>・Alfred Marshall
 「自由企業の下にある世界は、経済騎士道が発展するまでは、完全な理想から程遠いだろう。しかし、それが発展するまでは、集産主義の方向へのどんな大きなステップも、現代の程よい進歩率の維持にとってさえ由々しい脅威である」</blockquote>先日の選挙での焦点だった「郵政民営化」。
これだって、経済的な見地からの選択肢の一つでした。
今、何が起こっているのか、起ころうとしているのかは、知っておいた方が良いです。
それは、決して優雅なものではないのですけれどね。はは。

経済は、もっとも身近であり、具体的な哲学です。
たまには、こういうことを考えてみるのも良いと思いますですよ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 本・雑誌
感想投稿日 : 2018年11月13日
読了日 : 2005年9月15日
本棚登録日 : 2018年11月13日

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