クリストファー男娼窟 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (2012年10月25日発売)
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本棚登録 : 141
感想 : 12
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p38 肛門の退行と固着の妖気の中で男たちは、魂の自由からかどわかされ、ナルシズムの囚人カーテンの中で秘かにさまよっている。

草間彌生も小説を書くのか、と思って読んだら、意外とちゃんと小説だった。幻覚と現実が混じり合って詩的ではある。水玉の印象が強くて、そんな衝動的な感じの人が言葉を操れるのかと思ったけど(たまに良く分からない場面はあるけど)渡米してただけあって、ニューヨークの雰囲気を肌で感じて、そして絶妙な狂気と感性の言葉で表現されている。
愛の渇望と、性の衝動と、茫漠な自己の風景。ミルク色のカーテン。蛾の銀色の鱗粉。腐ったネズミと花。蒸れた体臭。ドラッグとホモの夜のニューヨーク。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 書籍
感想投稿日 : 2020年11月7日
読了日 : 2020年11月7日
本棚登録日 : 2020年11月7日

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