崩れゆく絆 (光文社古典新訳文庫 Aア 1-1)

  • 光文社 (2013年12月5日発売)
4.13
  • (44)
  • (52)
  • (17)
  • (6)
  • (0)
本棚登録 : 737
感想 : 62
4

民族誌半分、物語半分。カメの昔話、家族の仕組み、ヤム芋の農業。歌や市場や巫女の存在意義、アフリカ文化の基礎知識がないから、珍しい。

キリスト教の西欧がアフリカの人々の信仰を無慈悲に蔑み侵入してきたのを当事者の目から書いた、アフリカの人々 可哀想、なだけで終わらない文学。
村人たち、とくに主人公オコンクォが男らしく(横暴とも言う)自分勝手で他人の心情を解さない男で。伝統を重んじ自分の力で長になろうと努力した主人公が、自分の今までの行いから、自分の精霊(チ)の運命に逆らえず結局超えられない、というところに皮肉と悲哀を感じる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 書籍
感想投稿日 : 2019年6月27日
読了日 : 2019年6月17日
本棚登録日 : 2019年6月17日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする