新装版 長い家の殺人 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2008年4月15日発売)
2.92
  • (17)
  • (90)
  • (327)
  • (110)
  • (30)
本棚登録 : 1602
感想 : 180
3

歌野晶午の原点を、と思いストックされていたこちらの作品。どうせなら新装改訂版を読みたかったので長らく積読本と化しておりましたがやっと巡ってきてくれたので早速読んでみた。

一直線の長い廊下に連なるいくつもの部屋、1度消えて再び現れる死体。「愛」を感じるプロローグとの繋がりの読めない不明な展開。
そして2度目の類似した殺人事件。
登場人物に動機らしい動機が全く感じられず、最早本当に泥棒の仕業か!?!?なんて萎え一直線の推理に到達しましたが、なるほどこれは読めない。

風来坊の元メンバーの登場に戸惑い、ギャンブルなトリックに小首が捻れ、動機に口が尖った。
曲の中に隠されたメッセージの難解さとそれを実行した本人のひねくれ具合に同情心を削がれ、謎のミラクルが重なりミルフィーユと化した完全犯罪に頭を抱える。「〜だぜ」の話し言葉にニヤニヤする。
あれ、ツッコミ含め凄く楽しんでいるではないか。

この粗さが過去作を読む醍醐味であり、聖地巡り パワースポット しかり原点を見た事に満足感。
これから出逢うであろう著者が作りあげた沢山の驚きが待ってると思うとワクワクします。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本作家
感想投稿日 : 2021年2月20日
読了日 : 2021年2月19日
本棚登録日 : 2021年2月19日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする