『芥川龍之介はなぜ』
主人公である大学生の「私」が、
探偵役である噺家・春桜亭円紫と
日常の謎を解き明かす人気シリーズ。
人が死なない推理小説として有名でもあります。
今回の謎は、芥川龍之介はなぜ、
短編 『六の宮の姫君』を書かずにいられなかったのか?
「あれは玉突きだね。...いや、というよりはキャッチボールだ」という
芥川のセリフを発端に始まる主人公の文学的探索は、まさに思索と発見の繰り返し。
盟友・菊池寛との関係や『今昔物語』、『沙石集』との結びつきなど、
ひとつの短編の背景には思いもよらなかった世界が広がっていました。
本編中、「何ごとかを追求するのは、人である証に違いない」とありますが、正に。
面白いのはもとより、本を読むことが何より好きな僕にとって
「本という海」の深さに目が眩む思いがした1冊です。
この秋、何を読もうかな...と思っている人、
そしてちょっと文学好きな人はぜひぜひおすすめです。
読後、目の前の世界が少しだけ美しく見えますから。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
落語本
- 感想投稿日 : 2010年5月1日
- 読了日 : 2010年5月1日
- 本棚登録日 : 2010年5月1日
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