プールの底に眠る (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2013年4月12日発売)
3.60
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本棚登録 : 622
感想 : 79
5

冒頭のイルカとセミのやりとりは、正直「なんじゃこりゃ?」と違和感だらけで、読み進めることに不安を感じてしまいました。が、最終的には半日で一気読みしてしまったほど、本作に没頭させられてしまいました

その魅力が何なのかを一概に言い表せないのですが、キャラの特徴や性格などを少しずつ少しずつ積み重ね、知らぬうちに読み手にその存在を理解させるところがその一端なのではないかと思っています。

それを痛感したのは、終盤の「今度こそ○○」というひとこと。たったこれだけで「あ、アイツだ!」と連想できるほど、登場人物の特徴を脳内に植え付けられていたんだと気づきました。

この辺りは同じメフィスト賞作家の辻村深月氏に似ているように思います。作風的にも(以前読んだ「私を知らないで」も)初期辻村作品に近い青春ミステリだったことから、非常に良く似た“匂い”を感じました。

「私を知らないで」は同じ青春ミステリでも甘酸っぱさよりは“苦み”が強い印象でしたが、本作はかなりハッピーな気分で読了出来ました。終章の途中までは少し落ち込みましたが、最後の最後での大逆転で「キターッ」的なハイテンションに。

久々に夢中にさせられた作品でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2013年5月6日
読了日 : 2013年5月6日
本棚登録日 : 2013年5月6日

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