純 (百年文庫 96)

  • ポプラ社 (2015年1月2日発売)
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感想 : 9
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「馬鹿一」
読み進むにつれ、馬鹿一の達観した生きざまと聖人ぶりが輝いてくる。
馬鹿一は馬鹿なのではない。
自分の世界を持ち、それを強固に守っている。
他者の目を意識せず、真っ直ぐ、自分の真実を大切にして生きている。
馬鹿に見えるほど、穢れのない純粋さを体現してのびのびと生きている。
だから、人は彼にちょっかいをかけたくなるのだ。
馬鹿一の言葉が、笑っている人の心の隅に残っている。
彼らは、本気で笑っているのではないように感じる。
どこか痛みを含んだような笑いのように、私には感じられる。

「山の雪」
純白の世界に生きる命の息遣いを感じる。
白く静かなせかいだからこそ、その約動画クリアになる。
素朴でシンプルで静かな生活。

「八重山の雪」
強く美しい純愛だ。
それでも、逃げ切れないし、戻れない。
夢を追ってはみたけれど、結局は現実にからめとられていく。
最後のジョージの姿は、その心を表していると思った。
良い人間だ。
しかし、弱い人間でもあった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 9・文学
感想投稿日 : 2021年9月7日
読了日 : 2021年9月13日
本棚登録日 : 2021年9月7日

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