- Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004318613
作品紹介・あらすじ
2019年に開館以来最大規模のリニューアルを行なった原爆資料館。世界中から訪れる人々は、そこに何を見て、どう感じているのか。原爆投下直後から一人被爆資料の収集を重ねた初代館長の信念は、どのように引き継がれてきたのか。被爆者の一層の高齢化が進む中で、「あの日」を記録し伝え続ける「記憶の博物館」の軌跡と課題。
感想・レビュー・書評
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何も飾らず、ただただ真摯に事実を伝えようとされている著者の姿勢にならって、私も姿勢を正して読みました。
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感動した。ただ感動だけでは収まらない感覚。何なんだろうか?使命感に溢れ、何としてもやり切ろうと言う思い。その情熱に打たれた。
ヒロシマ、ナガサキは風化させてはいけない。しかし自分に何ができるのか… -
本の題名のとおり、読み始めた最初からたくさんの問いかけが列挙、つまり、並びたてられる。並ぶのではない。
最初は今はやりの語られ方かと思ったものの、読み進めるうちにそれぞれ小さな問いかけが大きな問いかけと関連付けられているように、いや、読者の私が勝手に関連付けて読んでいるだけなのかもしれないけれども。
物が存在しないところにある何かを物を通して考えること/考え続けること、(その人は、その人々は、その街は)もはや存在しない、ということに思いをはせることが記念資料館に求められていることなのか。記憶を残すことが、今、この記念資料館の求められている(現在進行形の)役割といえよう。
私は広島平和記念資料館には行ったことがない。
高校生のとき長崎の原爆資料館に行く前に学校で記録映画を見た。そこで見た凄惨な映像や語りを実はほどんど覚えていない。多分、被爆者の方の語りもあったはずだ。ただ憶えているのは友達が泣いていたことだ。私は泣かなかった。高校生なのになぜ泣いているのだろうと思った、ことだけを憶えている。長崎に行って、強く印象に残ったのはバスの車窓から見た浦上の如己堂だ。
そこに行かなかったことをあとからひどく後悔したのと、偶々図書館で借りた「この子を残して」が重く、かつ、鮮烈だったこととも関連している。
赤茶けたひどく古い本で、読みながら、なんとも、怖くなって、私にとっては自分の部屋に置いておけなくなるほどだった。
大人になって石内都さんの写真展を見たことをこの本を読んで思い出した。そして、この本の最後のページにある写真に心打たれた。 -
広島平和記念資料館が博物館(ミュージアム)と異なるのは、展示物が主に被害に遭った人々の遺品であること、時に政治問題化すること。何をどう見せるかについて、資料館側がどの様に試行錯誤してきたかは、我々が原爆とどう向き合ってきたかを省みるのと、ほとんど同義に感じた。蝋人形展示の是非はよく知られた論争だが、一つ言えるのは、注目すらされないよりは、賛否両論が交わされる方がまだ良いということ。その伝で言えば、本書のような"発信"は、それ自体意味ある事のように思える。
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巧みな文章ではないが、資料館の歴史的経緯や展示の背景を知るための記録として意味のある本
原爆による被害の実態を展示するために作った建物なのに原子力を推進する団体のイベントに利用されそうになったり、アメリカで原爆についての展示が行われるはずだったのに退役軍人団体の反対で展示内容が大幅に縮小されたり、といった政治的駆け引きの真っ只中に置かれてきた施設 -
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岐阜聖徳学園大学図書館OPACへ→
http://carin.shotoku.ac.jp/scripts/mgwms32.dll?MGWLPN=CARIN&wlapp=CARIN&WEBOPAC=LINK&ID=BB00609306
2019年に開館以来最大規模のリニューアルを行なった原爆資料館。世界中から訪れる人々は、そこに何を見て、どう感じているのか。原爆投下直後から一人被爆資料の収集を重ねた初代館長の信念は、どのように引き継がれてきたのか。被爆者の一層の高齢化が進む中で、「あの日」を記録し伝え続ける「記憶の博物館」の軌跡と課題。
(出版社HPより) -
「単に順路に従って通り過ぎるのではなく、一つひとつに立ち止まり、真摯に向き合い、五感を研ぎ澄ませて全身で感じ、知力を駆使して想像し、思考力の限りを尽くして考え抜く。博物館は、その環境を整え、空間を用意し、来館者を迎える。これです。……
この博物館に答えはありません。あるのは、問い掛けなのです」
美術館、博物館、記念館、どんな建物でも、人が作ったものである限りその意図がある。来館者に伝えるべきこと、彼らがそれを汲み取り立ち止まること、あわよくばそこで新しい物語や対話が生まれること。その「仕掛け」を考え続ける人たちの力強さに感動する。 -
2021年8月10日購入。