ホーンテッド・キャンパス この子のななつのお祝いに (角川ホラー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (2015年10月24日発売)
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感想 : 35
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読書録「ホーンテッド・キャンパスこの子の
ななつのお祝いに」4

著者 櫛木理宇
出版 角川ホラー文庫

p261より引用
“「ハイヌウェレ型神話は、インドネシアの
セラム島に伝わる伝承だ。ココヤシの花から
生まれた少女ハイヌウェレは、尻からさまざ
まな宝物を生むことができたという。村人た
ちはそんな彼女を気味悪がり、殺してしまっ
た。ハイヌウェレの父親は、掘り出した死体
を切り刻んであちこちに埋めた。すると、彼
女の死体からは芋が生えてきて、人々の飢え
を満たしたそうだ」”

目次より抜粋引用
“ここはどこの細道じゃ
 天神さまの細道じゃ
 ちいっと通してくだしゃんせ
 御用のない者通しゃせぬ
 御札を納めに参ります”

 見たくないのに幽霊が見えてしまう大学生
を主人公とした、短編連作青春オカルトミス
テリの長編作。シリーズ第八弾。
 副部長・三田村藍の卒業旅行を理由にして、
部員全員で温泉旅行へ出かけた雪大オカルト
研究会。色々なトラブルに見舞われた挙句、
とうとう吹雪で立ち往生までしてしまい…。

 上記の引用は、昔話の瓜子姫と世界の神話
についての部長の台詞。
距離も時代も離れた世界で、同じような神話
や昔話のエピソードが語られるのは、人が生
きることはどんな所でも同じような物という
ことなのかもしれませんね。
 シリーズ初の長編。終わりに向けて怖さや
気持ち悪さが積み重なり、濃密になっていく
のが、ここまでのシリーズとは少し違った味
わいです。ホラー度は長編の方が、高く描き
やすいのかもしれませんね。
 どんなことでも、執着が過ぎると人は狂っ
てしまうものなのか、と思わせる話でした。

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読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: か行
感想投稿日 : 2021年12月27日
読了日 : 2021年12月27日
本棚登録日 : 2021年12月27日

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