世界をよくする現代思想入門 (ちくま新書 577)

著者 :
  • 筑摩書房 (2006年1月1日発売)
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本棚登録 : 135
感想 : 15
4

これは良書。

タイトルの通り、構造主義やポストモダニズムに代表される「現代思想」を扱った一冊です。現代思想と哲学の違い、現代思想の誕生と変遷、その未来までを扱っています。レヴィ・ストロースやハイデガー、アガンベンといった有名どころの思想もわかりやすく説明しており、現代思想の概観をつかむにも好適でしょう。

とはいえ、それだけでは「よく出来た入門書」の域を出ません。本書が優れている点はひとえに、現代思想の目的と機能を明確に示していることにあります。

著者は、現代思想の目的は「世界をよくする」ことにあると断言します。そして現代思想とは、その目的を達成するための「道具」なのだとも言います。
そのためか、本書の記述は極めてわかりやすい。「現代思想の大目的は何か」「この思想はいかなる目的を持つか」「個々の思想は目的達成のためにどのように設計されているか」といった視点を一貫して有しているため、論理がぶれることがありません。必然的に、読む側も戸惑うことなく記述の流れをを追うことが出来ます。

新書というサイズ上、個々の思想についてはやや食い足りません。とはいえ、必要なところは大方カバーされています。本書で現代思想の流れをつかみ、その目的と機能を把握すれば、一般に難解とされる思想家の文章にも取り組みやすくなるのではないでしょうか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2014年2月14日
読了日 : 2014年2月14日
本棚登録日 : 2014年2月14日

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