現代語訳般若心経 (ちくま新書 615)

著者 :
  • 筑摩書房 (2006年9月5日発売)
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本棚登録 : 1062
感想 : 101
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遅読なのに、わずか3日で読了。
薄い本といえば薄いだろうけど、中身は結構分厚い感じがする一冊。
たまたまあるコミュニティーの雑談で登場した「色即是空 空即是色」という言葉。
音として知っているけど、それぞれの漢字の意味でなんとなく知っているつもりだったでど、ほぼ無知であることに気づき、そのままamazonで取り寄せた。
現代語訳とのタイトル通り、何の障壁もなく頭の中に流れ込んでくる演出と文体。何も手に着かない時には、つまみ食いでも再びページを開いて読みたい本。

『般若心経』は、実際は知らないけど汎用性のあるお経ぐらいにしか思っていなかったし、全文をじっくり読むことも、見ることもなかった。そもそもお経なんて「昔の仏教徒が語った“ありがたいお言葉”」で、儀式の1つの作法として唱えるもの。唱えたからと言って、何が変わるわけでもない。あえて言うなら、読経は西洋音楽に対抗できる東洋の音楽の1つというのが取り柄だと思っていた。

ところが、ところがである。
それほど長文ではない般若心経だが、その背景、基礎となる考え方、西洋の哲学やら最新科学の話題を盛り込みながらの現代語訳は、軽妙な文体とは相反して濃厚な、訳というより解説書のよう。
というより、般若心経自体が仏陀(この本では世尊)の考え(悟り)のエッセンスを過不足なくスマートに凝縮した解説に思えた。

200ページそこそこの書籍だけど、今まで手を出してきたユダヤ教や複雑系、脳科学の話しと、しばしば繋がるからシナプスは発火しっぱなしだった。そして、以前読んだ鈴木大拙さんの「禅学入門」で感じた、「異次元」を再び感じたと同時に、全てが収束されていく感じがして、すごくワクワクする一冊。

ついでに、「羯帝羯帝波羅羯帝 波羅僧羯帝菩提僧莎訶」は、なんでも呪文だそうで、般若心経を暗唱すること、音読することは、意味を考える以前に何らかの作用を及ぼすという。普段関わりの濃い「音楽」も、スルスルとリンクしてしまいました。

やっぱり、般若波羅蜜多は凄い

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年1月25日
読了日 : 2023年1月25日
本棚登録日 : 2023年1月21日

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