自分の中でイヤミスを心待ちにしている芦沢央作品、今回は様相が異なった。登場人物がグロテスクだったが、グロテスクにならざるを得なかった理由が明らかになると、一気に「同情」が脳裏を駆け巡る。親の身勝手さによって子どもが負のベクトルの十字架を背負わざるを得ない。波留、阿久津がそれぞれの負のベクトルを懸命に生きるのだが「親」を突破できない不条理。しかしこの2人が共感することで正のベクトルに一気に変わる。傍から見たら同情、2人から見たら「生への道標」だった。芦沢作品、リーダビリティに長け、心情に訴える作品でした。⑤
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
不条理
- 感想投稿日 : 2022年12月8日
- 読了日 : 2022年12月8日
- 本棚登録日 : 2022年12月8日
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