その死者の名は (創元推理文庫 M フ 13-5)

  • 東京創元社 (2002年8月1日発売)
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本棚登録 : 75
感想 : 10
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 これはまた古き良き時代の英国ミステリ。深夜に路傍に寝っ転がっている男を偶然車で轢き殺してしまったものの、顔がつぶされて被害者が誰だかわからないという面妖な田舎の事件を、地元の警察や通りがかった記者だのがのんびりと捜査する。事件や謎解きはともかくとして、探偵役として登場するトビーとジョージの二人組の活躍が読みものだ。こういう掛け合い漫才のような素人捜査チームはホームズとワトスンの時代から定番ではあり、ああこれどっかで見たなと考えてすぐにクレイグ・ライスのビンゴとハンサムを思い出した。似てる似てる。1940年の作というからライスより少しこっちの方が先のようだけど。何かと先走るトビーよりボケ役のジョージの方が実は鋭いところもよく似ている。狭い村の事件なので被害者はすぐにわかってしまうところをうまいこと二転三転させた結末はなかなか見事で楽しめる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 海外ミステリ
感想投稿日 : 2016年12月23日
読了日 : 2016年12月22日
本棚登録日 : 2016年12月23日

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