後宮に星は宿る 金椛国春秋 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (2016年12月22日発売)
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感想 : 97
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古い時代の中国を思わせる架空の国が舞台の傑作シリーズ、1作目。
女官として後宮に入り込んだ少年の運命は。

大陸の強国、金椛(ジンファ)帝国。
名門である星家の末っ子・遊圭は、ひとり生き残った…
叔母が新たな皇后に選ばれたため、「皇帝に外戚なし」という法のもとに、一族全員の命が突然奪われてしまったのです。

療母(薬師)の胡娘(コジョウ)に助けられ、からくも逃げ延びた遊圭は、町娘の明々に出会います。
匿ってくれた明々が後宮へ出仕することになり、遊圭も女童の遊々としてついて行くことに。
病弱で世間知らず、追われる身の遊圭は、とうてい一人では生きていけない。
小柄で少女にも見える美形なので、当分は大丈夫そうだったが、いつまで続けられるか?

育ちから教養があり、まっすぐな気性の遊圭は、生き延びるためにも知恵を働かせ、ひっそり隠れている予定がしだいに目立ち始めます。
美貌の宦官・玄月に正体を疑われながら、さらなる試練に立ち向かっていくのでした。

設定がほかの大抵のシリーズよりもしっかりしていて、描写も緻密です。
登場人物は若々しいけれど、軽過ぎはしない。
必死だが自分を見失わない遊圭、素直な明々、優秀だが鬱屈した玄月。
遊圭を育てた頼りになる胡娘や後宮で出会う人たちも、個性がはっきり描き分けられています。
これは面白い!と嬉しくて、一読後すぐに読み返したお気に入りです☆

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 国内小説
感想投稿日 : 2021年9月6日
読了日 : 2021年6月21日
本棚登録日 : 2021年9月6日

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