風流冷飯伝 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2002年3月28日発売)
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本棚登録 : 219
感想 : 25
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「~伝」三部作の一作目。
冷飯とは江戸時代の、跡取りでない息子のこと。
部屋住みのまま、どこかの婿に入れなければ、結婚もままならない。
お江戸の幇間(たいこもち)一八が、なぜか風見藩をうろうろ。
実は忍びの家系で後に出てくるお仙の兄。幕府隠密の手先として、ある使命を担っていたのだが…
桜色の羽織という派手な格好で、道行く人に白い目で見られる。
じつは道を歩くにも妙な規則があり、それを破っているよそ者への視線だったのだ。
小さな藩だが先々代の藩主がなかなかに曲者で、独特なやり方をして、幕府と知恵比べをしていた。
田沼意次は、取りつぶしのチャンスを狙っているのだが…?
たまたま知り合った冷飯・飛旗数馬としだいに仲良くなった一八。
気のいい数馬は暇そうに藩内を練り歩き、釣りをしている友達に声を掛ける。そこにも冷飯ならではのやり方が…時間をつぶしつつ、殺生は最小限に抑えていたのだ。
数馬の家の主は双子の兄。兄か弟かで運命の分かれる時代、じつはときどき交代で仕事に出ているという呑気な状態。
ある日、降って湧いたように、将棋所を設けると命が出たため、仕事に就くチャンスと冷飯は将棋盤を求めてたけりたつ騒動に。
将棋名人を探すのを手伝う一八。
とある理由で長男は将棋をしてはいけないというお達しがあったため、将棋が出来る人間が少ない藩だったのだ。
名人といえば神波剣四郎が有名だったが、美形の若者・榊原拓磨が思いがけない才能を見せる。
将棋の強い一八は試合を見守り、そして…?
藩の事情を探りつつ、世間知らずで困っている人に力を貸して人助けをしながら、さて一八の使命は達成できるのか?
講談調で面白おかしく語られます。
あまり品はないけど、笑えてほのぼのした展開。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 国内小説
感想投稿日 : 2010年12月3日
本棚登録日 : 2010年12月3日

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