プリンセス・トヨトミ

著者 :
  • 文藝春秋 (2009年2月26日発売)
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今回は大阪が舞台。
5月末のある日、大阪ではすべてが停止した。
それは公には報道もされず、なかったことにされるのだが…
その出来事は、会計検査院の3人が、大阪出張で数カ所を回る調査に出向く所から始まる。
会計検査院って何なんだかと思いますよね。
でも表紙にあるとおり、凄腕の松平元(はじめ)と、出向してきたハーフの美女、旭・ゲーンズブール、太めで三枚目の鳥居というこの3人のキャラが立っていて、楽しく読み進められます。
おりしも、お好み焼き屋の息子・真田大輔は、セーラー服を着て登校すると決意していた。子供の頃から女の子になりたくて仕方なかったのだ。
幼なじみの橋場茶子は、小柄だが気が強い女の子。隣の家に住み、お好み焼きを夕食に食べて育った。
孤立する大輔を心配し、ひどいイジメには報復を決意する。
担任にはせめてジャージにしろと言われる大輔。理解ある担任がそれで好きになるのは男の子なのかと気を遣いながら聞くのだが、大輔は未だその辺は意識していないのもおかしい。
クラスメートには驚かれるだけだが、蜂須賀組の息子にはひどく嫌われて殴られ、脅される羽目に。
いっぽう、謎めいた組織OJOの調査に向かった会計検査院のメンバーは、長屋に面した2階屋に驚くが、正面に回ると立派な4階建て。なんと、そこは…
壮大なスケールと庶民感覚が理屈抜きの楽しさ。
ひそかに連絡が回され、2百万が結集するとは。
難癖をつけて豊臣を滅ぼした徳川のやり口にいきどおり、ちょっとした意地を長年かけて通す人々。
父子の絆で泣かせます。
さりげなく、男達がなんかやってるのを知らんぷりして支える女達の存在もいいですね。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 国内小説
感想投稿日 : 2010年6月10日
本棚登録日 : 2010年6月10日

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