男ともだち

著者 :
  • 文藝春秋 (2014年5月26日発売)
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151回(2014年上半期)直木賞候補作。
前に「あとかた」という短編集を読んでいます。

神名(かんな)葵は、29歳のイラストレーター。
絵本作家を目指し、絵本で賞をとったこともあるので、仕事はまあ順調になってきた。
だが本当に描きたいのは何だったか、やや見失いかけている。

おだやかな性格の恋人の彰人とは同棲して5年。
平等な関係を築いていると思っている。
ただし、医師の真司とは不倫関係にあった。もともと奔放なカンナは、身体だけの関係も多かった。同棲相手には気づかれないように気をつかっているつもり。
性格に問題ありの傲慢な医師とは、冷めかけてはいるが、強引な相手との方が合うのかもとふと思ったりもする。

そんなとき、大学時代の2年先輩だったハセオとの間に、7年ぶりに連絡が復活。
互いにいつも恋人は別にいたが、信頼できる男ともだちで、部屋に転がり込んで腕枕で眠ったことも何度もあるという間柄だったのだ。

‥おいおい?
何を読まされているんだろうと、途中で一度やめました(笑)
いやでもまあ~と読み進めると、やはり同棲相手とは破綻。向こうの気持ちも離れているのに気づかず、バッサリ切られるので、ああそういうことかと。
カンナが自分のおろかさに気づかされる面もあります。

カンナが困っているときに登場して助けてくれるハセオ。
ハセオがやはり都合がよすぎるキャラですが、まあこういう人がもしいたら‥と、読んでいられないことはない。
互いにモテまくりで、どっちも恋人にしたいタイプと違っていたら、肉体関係に及ばないということはあり得るでしょう。好意を抱いた相手全員と関係持つわけじゃないから。
ただ、友達というよりも、この繋がりは兄妹的かな。
心の奥に抱えた空洞(異性不信?)が、同類という意識を持たせていたという話のよう。

30の女が一番悪いというのをいぜん持論にしていたことを思い出しました。
大人しくしていてもダメだと考え始める年頃。
恋愛も仕事もむちゃくちゃになっちゃうこと、あり得るんですよ‥
タイプは違うけど、そりゃ若い頃はばかだったなーというか、予想と違うふうに転がっちゃうことってあります(苦笑)
そういう意味では、読んであれこれ考えるのも、面白い作品かもしれません。

このヒロイン、イラストレーターとしては、学生時代から作品が溜まると何かと展示をしていたというのだから、かなり真面目で果敢なところもあるじゃないですか。
やむにやまれぬものが内面にあるのなら、男はこやし?的なところも‥
成長過程の、けっこう華やかな時期だったということかも。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 国内小説
感想投稿日 : 2014年12月11日
読了日 : 2014年11月20日
本棚登録日 : 2014年11月5日

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