往復書簡

著者 :
  • 幻冬舎 (2010年9月21日発売)
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3話収録。

「十年後の卒業文集」
同窓生の中からカップルが生まれ、めでたく結婚。
披露宴の写真を送りがてら、一人だけ来なかったかってのメンバーについて、手紙が飛び交う。
高校の放送部で一番人気のあった部長の浩一が新郎だが、相手は高校の時付き合っていた千秋ではなく、副部長だった静香なのだ。
いつの間に、こうなったの?
あの時みんなで好きな人を打ち明け合った、本当の気持ちは…?
最初から本気だった?
みんなで願掛けをしようという話があったときの気持ちは…
大学時代に何があったのか。そして、千秋が怪我をして行方が知れなくなったというのは…

誰が誰に送った手紙なのか、というのも一捻りしてあって、飽きずに読めます。
お互いがどう思っていたか、自分はどう思いこんでいたかというあたりのずれは、ちょっと意地悪で、いかにも。
後味はこれまでに比べると、ずっとマシ。

「二十年後の宿題」は、教師がかっての生徒に、20年前に川で起きた事故に関わった子供達が現在幸せにしているかどうか見てきてくれと頼む。
何があったのか。
そして、教師が頼んだ理由とは?
幸福を祈る思いへ向かっているのですね。

最後の一編「十五年後の補習」
はこれまでより一歩進んで前向きな覚悟が感じられます。
15年来付き合っている二人。
万里子は中学2年の時に起きた事件当時の記憶をなくしていた。
素直で真っ直ぐな彼女を守っているつもりだったが、いざというときの彼女の勇気にはかなわないという気持ちも抱いていた純一。
突然、彼が国際ボランティア隊に参加してアフリカへ2年間赴任することになり、半年間の準備期間中も何も聞かされていなかったことにショックを受ける彼女。
手紙のやりとりが始まります。

過去の事件は深刻なのだが‥
誤解を解きつつ、しっかり向かい合っていく二人のやりとりなので。
こんなに後味良くて、良いの?ってぐらい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 国内小説
感想投稿日 : 2011年5月25日
読了日 : 2011年5月25日
本棚登録日 : 2011年5月25日

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