評価の高いアイスランドのミステリ。
ある女性の過去の人生がさしはさまれ、捜査官エーレンデュルの人生にもある転機が訪れる。
印象深い作品です。
首都レイキャビクの郊外にある住宅建設地で、古い骨が発見された。
現場近くにはかって古いサマーハウスがあり、第二次世界大戦の終わる頃には、イギリスやアメリカの軍人が住むバラックもあったという。
捜査に当たるエーレンデュルらは、緑色の服を着た女性がたびたびその地に現れたという話を聞く。
一体何者なのか‥?
若い女性と幼い子供が夫に虐待される悲痛な現実が、挿入されていきます。
それがどこでどう事件と関わっていくのか‥?
あまり酷いので目を覆うばかりですが、作者が家庭内暴力を甘く見られがちなことに義憤を感じ、問題を明らかにしたかったようです。
暴力で命の危険にも晒されて、被害者は判断力を失ってしまう。拒否すればいいとか、家を出ればいいということで済むような問題ではないのだと。
エーレンデュル自身の幼い頃の悲劇と苦悩も明らかに。
若くして離婚、妻にはいまだに恨まれています。
そのいきさつと、音信普通だった間に壊れてしまった子供達の問題も。
娘エヴァ=リンドは妊娠していて、薬を減らそうと努力していましたが、家を飛び出します。必死に探す父親。エヴァ=リンドは危機に陥りますが‥
絶望的に見えた状況に奇跡が‥!
一筋の希望がともります。
この作品で、北欧ミステリの賞「ガラスの鍵」賞を連続受賞したばかりか、CWA賞ゴールドダガー賞も受賞しています。
邦訳2冊目ですが、シリーズとしてはもっと前から書き継がれているので、ずっと読んできた読者の感動はさぞかしと思わせます。
- 感想投稿日 : 2014年3月22日
- 読了日 : 2013年12月15日
- 本棚登録日 : 2013年12月15日
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