野の医者は笑う: 心の治療とは何か?

著者 :
  • 誠信書房 (2015年8月20日発売)
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感想 : 70

気になっていた本。やっと読めた。

「臨床心理学」とは何なのか。
他のケアシステム(野の医者)を知ることで,治療とは何か,臨床心理学との違いは何かを探っていく。

読み終わった後にこの題を見て,ある意味で総括になっているんだなと思った。

「宗教の末裔であり学問である」のが臨床心理学。
クライエント側からしたら学問である必要はないんだろうけど,それでもこの資本主義の世界で治療者とクライエントでない人にもその意義を説明してお金を出してもらうには,学問であることが大きな力を持つ。

・野の医者は自らが患者であり,治療行為が自らをも癒やす
・野の医者の治療とは軽い躁状態まで回復すること(精神分析の場合は悲しみをきちんと消化し,しっかりと悲しめるようになること。松木先生の帯にも)

治療者の技法にどれだけクライエントを巻き込めるかが治療成果を左右する。だから野の医者は喋り倒すし,臨床心理士は治療機序を詳しく書き込む。クラインマンの説明モデルとポストモダンについては普段からボスにも言われていることだけど,文化要因(経済水準,産業,性役割,宗教など)と説明モデルの関連について調べてみたいなあ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 心理
感想投稿日 : 2017年9月9日
読了日 : 2017年9月9日
本棚登録日 : 2017年9月9日

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