食べ物を取り上げた作品を読むと,大抵その食べ物を食べたくなるものだけど,坂田さんに関してはそれが当てはまらない。
どうしても,人間そのものに注意が向く。
どんな深刻な状況でも飄々とし,どこか達観している人々。自身の存在を脅かすほどの怒りを抱くこともない。
その場の流れを受け入れ,人を責めず,そこにあるものに僅かな喜びを引き出す。
その喜びとして今回は食べ物が選ばれているけれど,あくまで全体の一部でしかない。酒ならぬ,食べ物にのまれていない,とでもいうのだろうか。
かと言って人間が中心でもなく,人間も全体の一部。
坂田さんの作品を形作っているのは,まるで水墨画や印象派に見られるような,ぼんやりとした空気や光。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
漫画
- 感想投稿日 : 2014年8月3日
- 読了日 : 2014年8月3日
- 本棚登録日 : 2014年8月3日
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