一杯のおいしい紅茶-ジョージ・オーウェルのエッセイ (中公文庫 オ 3-1)

  • 中央公論新社 (2020年8月21日発売)
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感想 : 24
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オーウェルといえば1984や動物農場などの作品のイメージが強いけれど、このエッセイを読んで彼に対する印象が大きく変わった。特に1章の食事や日常生活に関する内容がとても面白い。電車の中で笑いをこらえてしまうようなところさえあった。筆者が言うには、おいしい紅茶を入れるには11点もの譲れない条件があるらしいし、理想のパブの条件をすべて満たすパブは実在しないらしい。

私がこの本をこれだけ面白く読めたのは、日本語訳がまた実に良いものだったからというのもあると思う。たいていの翻訳ものは、読んでいて何を言っているかわからなかったり、ジョークが通じなくなっていたり、「本当に原文でこんなこと言ってるのか?」と思えるようなところがあったりするものだけれど、この本についてはそういう点が全くなく、終始とてもリズム良く楽しく読むことができた。一見とても真面目そうな雰囲気の文体なのに、実はものすごく面白いことを言っていたりして、そのギャップで余計に笑わされた。翻訳されることによって作品がより良いものになるという好例!

個人的には「クリスマスの食事」がとても面白くて、笑いたい気分のときに何度も読み返している。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: エッセイ
感想投稿日 : 2021年5月3日
読了日 : 2021年5月3日
本棚登録日 : 2021年5月3日

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