まず目に飛びこんでくるのは、NPO法人『カインド・ネット』の代表理事である神代武が殺害された新聞記事。
そして、プロローグで単身向けマンションで11匹と猫とともに一部白骨化した孤独死体。
それは、1973年10月21日に生まれた鈴木陽子であった。
その当時だとごくありふれた家庭だと思う。
サラリーマンの父と専業主婦の母、その長女として陽子が生まれ、弟が生まれ、翌年にはマイホームを建てる。
だが身体が弱く繊細な弟だけに愛情を注ぐ母。
やがて弟が事故で亡くなり父が知らぬ間に退職し、失踪する。
父に借金があり、自宅を競売にかけられ母はひとり伯父の家へそのあと陽子は1人暮らしをする。
それから陽子の人生が、いったいこれが1人の人生かと思うくらいに壮絶であり、誰といても孤独を感じさせるのだ。
やっとNPO法人の神代との繋がりが見えたときには、棄民を利用しての暗部まで足を突っ込み身動きもとれないことに…。
陽子が下した決断に異常さを感じ震える。
愛に飢えた咆哮なのか…。
これこそ絶叫だと。
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- 感想投稿日 : 2023年6月27日
- 読了日 : 2023年6月27日
- 本棚登録日 : 2023年6月27日
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