サクラサク、サクラチル

著者 :
  • 双葉社 (2023年7月26日発売)
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感想 : 135
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「絶対に東大合格しろ」と過剰すぎるほどの勉強漬けで自由時間のない染野高志。
これは教育虐待だと読んでいても気分が悪くなるほど。
同じクラスの女子の星愛璃嘉は親からネグレクトを受けている。貧困家庭で、仕事をしない母に代わってバイトをして生活費を稼ぐ。
二人とも違いはあれど親から逃れ、自由になりたいと思い詰めていた。
他人に興味もなく誰とも関わらないはずの星が、染野の普通ではない様子に気づき声をかけたことがきっかけで、二人はお互いの家庭の状況を知る。
深く共鳴した二人が、親への憎しみから復讐しようと決意する。
その復讐とは…。

親と同じ部類の人間に身を落とすことだけは避けたいという一筋の理性により結末は想定外であったが、これが出来得ることの最善だったのだろう。

虐待を受けながらもどういう方法で復讐を成すべきか、いちばん良い方法を考えて突き進むときこそ、思わぬ力が発揮でき新たな自分を知ることができる。
間違った道ではなく、選びとった道を行けるということにこの二人の出会ったのは偶然じゃなくて必然だったのかもと思った。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年8月20日
読了日 : 2023年8月20日
本棚登録日 : 2023年8月20日

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