トマシーナ (創元推理文庫)

  • 東京創元社 (2004年5月25日発売)
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本棚登録 : 465
感想 : 50
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 ポール・ギャリコの作品を紹介するのは、2回目です。
実は、この2作品を読む前に、ジェニィという作品を読みました。
 ジェニィは、少年ピーターが、交通事故にあったことが切欠で、何故か白い猫になってしまうことから始まります。その後は、白い猫になってしまったピーターを主人公に話が展開するのです。とは言っても、決して子供向けのファンタジー小説ではなく、そのスピーディーな展開は、読む人の気持ちを掴んで離さず、先に先にと読み進みたくなってしまうほどの内容です。特に猫好きの皆さんの中では評価の高い作品ですが、このBlogで紹介するのは躊躇していました。
 このトマシ―ナも、猫であるトマシ―ナが主人公の内容だと思って読みはじめましたが、実は、妻を亡くし、スコットランドの片田舎に移り住んだ獣医師マクデューイ氏が主人公です。獣医師であるにも関わらず、動物に愛情も関心も抱かない彼は、ひとり娘メアリ・ルーが可愛がっていたトマシ―ナの病気に手を打とうともせず、安楽死を選びます。それを機に心を閉ざすメアリ・ルー・・・

 しかし、町はずれに動物たちと暮らし、魔女と呼ばれるローリとの出会いが、頑なな父を変えていきます。父と娘に愛が戻るのはいつ?

 トマシーナは、流山おおたかの森の紀伊国屋に売っていなかったので、
東京の丸善にまで買いに行きました(アマゾンで買えって言わないで!
紀伊国屋さん暖簾に恥じない品揃えをお願いします)。
ジェニィに比べるとスピード感というか、スリリングさでは劣りますが、
人の心の問題に深く入り込んだ重厚な内容に心を打たれます。
この物語ほど複雑ではないかもしれませんが、私たちの人生にも
複雑な問題が絡まっており、私たちは問題の原因が相手にあると
思いがちです。しかし実は多くの場合、問題の原因は自分自身にあり、
無意識の拘りを解いてくれる人とさえ出会うことができれば、簡単に
解消することも少なくありません。あなたの魂を救うために・・・

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2011年9月19日
読了日 : 2011年9月19日
本棚登録日 : 2011年9月19日

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