ジェントルマン (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2014年7月15日発売)
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本棚登録 : 454
感想 : 41
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漱太郎の数々の卑劣な行為は女として到底受け入れがたく、嫌悪感だけが残った。彼を愛する男、夢生も翻弄され終には破綻してしまう。そして彼らに深くかかわる二人の女は一見脇役であるように思えたが、終盤クライマックスでその存在の凄みを知ることになる。哀しくて残酷で、滑稽で、まぎれもない悪夢なのだけど、沈美的で永遠の夢のようでもあって。。どちらかというと嫌な読後感の類。ただ、ここまで登場人物たちに感情移入できたのは、やはり作者の持つ魅力なんだと思う。例えば「人の行動に伏線なんかない。衝動しかないんだ。あと、運命しか…」こんな風にさらっと主人公に言わせる詠美節。相変わらず、洗練された文体は読み手の心と脳を大いに刺激してくれる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2014年10月20日
読了日 : 2012年6月20日
本棚登録日 : 2014年10月18日

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