なんというか本当にしみじみとするお話でした。
一穂さんの他の本、他の新聞社シリーズに比べて本の厚さが薄い…?と思い割とさら~っと読み終わっちゃうのかな?と思っていたのですが、その考えを裏切る、読み応えのある本でした。
このページ数に、主人公の二人、有村望と和久井冬梧の長い長い年月の物語が描かれています。
話は過去、有村と和久井の出会いから始まり、二人の別れ、そして十七年後の再会…までが書かれています。
二人の出会いは、証明写真のボックスという何故ここ!という場所なのですが、その出会いが最後にとても大切な意味を持ちます。最初は想像できなかったのですが、全て読み終えた後に、この出会いのシーンをもう一度読むと、とても素敵で切なくてドラマチックだな…と思いました。
その他にも、やっぱり一穂さんは物語の中の時間の進み方の描写や、二人の関係や感情を、ストレートではなく、彼らの生活の中にあるものや場所で描写するのが上手だなと。
それは私達の身近にもあるものや問題で(時にはなるほどと思うこともあるけど)すごく説得力があって、よりこっちが感情移入してしまう気がします。テーマやモチーフの選択が絶妙と言うか、素敵すぎます。
そしてこれを読むと、今回サブキャラとして出てきていた良時や西口の話を読み返したくなりました。
もちろん、これ一冊だけでお話は分かるのですが、私は是非一穂さんの新聞社シリーズは全部読んで欲しいなと思います。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
BL漫画/小説
- 感想投稿日 : 2015年1月9日
- 読了日 : 2015年1月9日
- 本棚登録日 : 2014年2月14日
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