千夜千冊エディション 宇宙と素粒子 (角川ソフィア文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044005061

作品紹介・あらすじ

松岡正剛が五十年にわたって読んできた科学書の中から宇宙論と素粒子論をめぐる代表的な本を厳選。ガリレオ、ケプラー、ハッブルから始まって、いったん時間の矢とエントロピーにこだわり、そこから著者が絶大な影響をうけたヘルマン・ワイルの展望台に立って、一三七億年の宇宙史を相対性理論やインフレーション理論やダークマターの謎でかいつまむ。最後はパリティの問題、部分と全体の関係の問題、ゲージ理論、ヒッグス粒子など量子力学の頭目たちの代表作が並ぶ。
もやもやとしたランダムなものがなにか1つをきっかけに動き始める。何が先にあって何が後からくるのか。ゆらぎ、ゆがみ、構造、秩序、時間。この先、どうなるかわからない宇宙像に思いを馳せる。

感想・レビュー・書評

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  • 第1章 天体のめざめ

    1734夜 ガリレオ・ガリレイ 『星界の報告』
    377夜 ヨハネス・ケプラー 『宇宙の神秘』
    167夜 エドウィン・ハッブル 『銀河の世界』
    1231夜 渡部潤一 『新しい太陽系』
    1732夜 佐伯和人 『月はすごい』
    1226夜 佐治晴夫 『宇宙の不思議』

    第2章 時間・エントロピー・ゆらぎ

    1061夜 リチャード・モリス 『時間の矢』
    368夜 ピーター・W・アトキンス 『エントロピーと秩序』
    909夜 イリヤ・プリゴジン 『確実性の終焉』
    1731夜 エリッヒ・ヤンツ 『自己組織化する宇宙』
    670夜 ヘルマン・ワイル 『数学と自然科学の哲学』
    1180夜 ジョン・バロー 『万物理論』

    第3章 宇宙を物理する

    1254夜 池内了 『物理学と神』
    1733夜 佐藤勝彦 『宇宙137億年の歴史』
    157夜 エルンスト・マッハ 『マッハ力学』
    570夜 アルバート・アインシュタイン 『わが相対性理論』
    192夜 スティーブン・ホーキング 『ホーキング、宇宙を語る』
    687夜 マイケル・リオーダン&ディヴィッド・シュラム 『宇宙創造とダークマター』
    760夜 フレッド・アラン・ウルフ 『もう一つの宇宙』

    第4章 千一夜目の宇宙論

    1001夜 ブライアン・グリーン 『エレガントな宇宙』
    第5章 素粒子と量子
    1739夜 ヤン・チェンニン(楊振寧) 『素粒子の発見』
    220夜 ウェルナー・ハイゼンベルク 『部分と全体』
    349夜 ルイ・ドゥ・ブロイ 『物質と光』
    1074夜 デヴィッド・ボーム 『全体性と内蔵秩序』
    1506夜 浅井祥仁 『ヒッグス粒子の謎』
    1740夜 佐藤文隆 『量子力学のイデオロギー/量子力学は世界を記述できるか』

  • 古代の天文学から、時間とは何か、エントロピーとは何か、を通じて相対性理論を紐解き、原子の宇宙に迫るため量子力学の世界へ向かう。〈千夜千冊エディション〉物理学篇。


    第1章はガリレイやケプラーの著作で幕を開ける。プチ『ルナティックス』のような構成の一七三二夜が嬉しい。
    宇宙と天体をめぐるロマンの第1章から、〈時間〉を科学的に捉えるとはどういうことなのかを解きほぐす第2章へ。この章は同じ〈千夜千冊エディション〉『情報生命』とリンクしている。
    第3章は相対性理論によって宇宙のはじまりをめぐる議論が急速に拡大したことについて。ダークマターやブラックホールの仕組み、反物質とは何かなどが解説され、ワクワクすると同時にかなり難しくなってくる。『銀河鉄道の夜』ふうに宇宙創造のプロセスを講義してくれる六八七夜が優しい。
    第4章は千夜千冊で最も長い一〇〇一夜の一篇のみで、1〜3章までと第5章の素粒子論をつないでいる。この章に限らず、「ヒッグス粒子」とか「パリティ」とか「自発的対称性の破れ」とかってなんだろう、と思っても繰り返しまた違う角度から説明してくれるので、なんとなくわかった気になれる。これが松岡正剛を読む危うさでもあるのだが、理系のセンスが全然ない私には、「超ひも理論」をわかった気にさせてくれるだけでも有難い。
    第5章「素粒子と量子」はだいぶ立ち入った話で、イメージを浮かべるのも難しい。概念と論理をもてあそんでいるだけに見えてしまうなぁ…と思っていたら、一〇七四夜でデイヴィット・ボームが科学的思考を既存の言語様式と異なる方法で記述する試みをしていたと知り、この話は面白かった。
    内容をすべて理解できているとは思わないのだが、子どもの頃読んだラッセル・スタナードの〈アルバートおじさん〉シリーズを思い出して懐かしかった(逆に言うと物理学の本を趣味で読んだのはそれ以来)。本書でSFを楽しむ土壌が頭の中にできたかな…と思いたい。

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著者プロフィール

一九四四年、京都府生まれ。編集工学研究所所長、イシス編集学校校長。一九七〇年代、工作舎を設立し『遊』を創刊。一九八〇年代、人間の思想や創造性に関わる総合的な方法論として″編集工学〟を提唱し、現在まで、日本・経済・物語文化、自然・生命科学、宇宙物理、デザイン、意匠図像、文字世界等の研究を深め、その成果をプロジェクトの監修や総合演出、企画構成、メディアプロデュース等で展開。二〇〇〇年、ブックアーカイブ「千夜千冊」の執筆をスタート、古今東西の知を紹介する。同時に、編集工学をカリキュラム化した「イシス編集学校」を創設。二〇〇九~一二年、丸善店内にショップ・イン・ショップ「松丸本舗」をプロデュース、読者体験の可能性を広げる″ブックウエア構想〟を実践する。近著に『松丸本舗主義』『連塾方法日本1~3』『意身伝心』。

「2016年 『アートエリアB1 5周年記念記録集 上方遊歩46景』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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