アーモンド入りチョコレートのワルツ (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店 (2005年6月25日発売)
3.60
  • (490)
  • (752)
  • (1265)
  • (108)
  • (24)
本棚登録 : 7172
感想 : 750
3

シューマン、バッハ、サティのピアノ曲を副題に持つ3遍の短編集ですが、子供達の成長を扱った短編集でもあります。子供は何故か中学生期限定。

1作目はいとこ同士で別荘に集まる夏合宿の話し。別荘に集まるのは子供達のみ。皆の中心である章くんが来年は高校生となるので、今年が最後の合宿ですが、、、佳作。

2作目はふとしたきっかけで知り合った中学生男女の話し。時期は中3秋から卒業まで。こちらも登場人物は子供のみ。個人的にはこれが1番好きでした。
自分の事しか考えられなかった男の子の、ラスト近くの「おれ、どうしても気になってしょうがないんだけど、、、」に続く台詞が泣かせます。相手のことを受け入れる覚悟を持った優しい台詞。大人の階段を登ったってやつでしょうか?僕には言えません。きっと彼はいいおとこになっていくのでしょう。
しかし、ゴルドベルグが不眠症患者のための曲だったなんて、知らなかったな。

3作目が表題作。やっと大人が登場します。でも、絹子先生とサティおじさんは横道から大人になったような人達。しかしながら、ふたりの社会不適合者が作り出す世界は魅惑的で、、、「色んな成長があっても良いんだ」と、人と同じ道を生きられない人達を肯定する作品。サティのピアノ曲を聴きながら読むと心地よいです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年10月2日
読了日 : 2023年10月1日
本棚登録日 : 2023年10月1日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする