アーモンド入りチョコレートのワルツ (角川文庫)

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  • 角川書店
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レビュー : 636
  • Amazon.co.jp ・本 (209ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043791019

作品紹介・あらすじ

ピアノ教室に突然現れた奇妙なフランス人のおじさんをめぐる表題作の他、少年たちだけで過ごす海辺の別荘でのひと夏を封じ込めた「子供は眠る」、行事を抜け出して潜り込んだ旧校舎で偶然出会った不眠症の少年と虚言癖のある少女との淡い恋を綴った「彼女のアリア」。シューマン、バッハ、そしてサティ。誰もが胸の奥に隠しもつ、やさしい心をきゅんとさせる三つの物語を、ピアノの調べに乗せておくるとっておきの短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 再読
    中学生の普段の生活を少し切り取って見せてくれるような短編集。youtubeでそれぞれテーマの曲を聴きながら読んだ。便利な時代だなあ。ほっこり優しさに包まれたような読後感。角田光代さんの解説も含めて全てすきです。

    『子供は眠る』…子供の情景
    『彼女のアリア』…ゴルドベルク変奏曲
    『アーモンド入りチョコレートのワルツ』…金の粉、アーモンド入りチョコレートのワルツ

  • 魅力的、という言葉が似合う本です。やっぱり私は森絵都さんの描く世界がとても好きです。3つの短編からなるこの本ですが、一番最初の話が好きです。意地悪をしているだけのように見える男の子の不器用さ、それを知ってなにも言えなくなってしまう不器用な子供たち。ガラッと空気が変わる瞬間もとても素敵ですし、切なさもありとても良い!爽やかな切なさでした。

  • クラシックのピアノ曲をのせた三つの物語。
    ちょうど変わっていく子どもたちのほんの一瞬をとらえて物語にしている。それは自分か経験したことでなかったりもするのだけれど、どの瞬間もほんとうに美しく、寂しく、納得する。

    1「子供は眠る」
    ロベルト・シューマン<子供の情景>
    https://www.youtube.com/watch?v=1_jRNAJEp5w

    2「彼女のアリア」
    L・S・バッハ<ゴルドベルグ変奏曲>
    https://www.youtube.com/watch?v=1PBlY3USDXA

    3「アーモンド入りチョコレートのワルツ」
    エリック・サティ<童話音楽の献立表>
    https://www.youtube.com/watch?v=NB8oPaCg6IY

    1中2の恭の夏休みは、毎年、いとこの章くんの海辺の別荘にいとこみんなで集まること。歳の近い少年たちの夏の儀式のようなひととき。そして最後の夏休みの思い出。

    2不眠症に悩まされているぼくが中学最後の球技大会をさぼって旧校舎で出会ったのは、同じ学年の藤谷りえ子。
    彼女は、旧校舎の教室で「ゴルドベルグ変奏曲」を弾いていた。彼女も不眠で悩んでいるということで二人は近い気持ちで話を弾ませるのだが・・・

    3奈緒と君絵は隣町の高級住宅街のなかでもひときわ華やかな洋館の絹子先生のところでピアノを習っていた。サティの好きな絹子先生のところにある日、フランス人のステファンという男性が居候する。

    P195去る者は、去る。けれども残る人もいる。それはきっと絹子先生のやり方が正しいとか、まちがっているとかの問題ではなく、好みの問題なのだろう。

    P198「アーモンド入りチョコレートのように生きていきなさい、って」


    角田光代さんの解説がこれまた素晴らしい!
    P206作者はその残酷な変化を書いているのに、しかもなんとも不思議なことに、読み手の心に残るのは頑丈は不変である。変化を書くことで作者は不変ということを私たちに気づかせる。
    中学生ではない私が、中学生の物語を読んで、「ああ、あったおういうこと」という感想ではなく、「そうそう、そうなんだ」と、すとんと共感できるのは、だからじゃないかと思う。書かれているのは変化ではなく不変だから。不変のものは年を経ても等しく私の内にあるから。

    P207森さんの書く小説はかぎりなくやさしい。やさしいのに、さわさわと手触りがいいわけではないのだ。きれいごとを慎重に排しているせいで、どちらかというと、ごつごつしている。いわば骨太のやさしさ。そうしてそこには、私がかつて抱いていた弱さ、卑屈さ、無責任さは微塵もない。やさしさというのはものすごく力強い何かだと、森さんの小説はたしかに思わせる。それは作者の覚悟なんじゃないかと私は思う。
    森さんの小説のやさしさというのは、肯定だと私は思っている。あるがままのものを肯定する。

  • 『子供は眠る』…夏休みに、親戚である少年たちだけで海辺の別荘で過ごす話。
    『彼女のアリア』…不眠症の少年は、虚言癖のある少女と旧校舎で偶然出会う。
    『アーモンド入りチョコレートのワルツ』…ピアノ教室に突然現れたフランス人のサティのおじさん。


    短編に合わせて、それぞれのピアノ曲、「子供の情景」「ゴルドベルグ変奏曲」「童話音楽の献立表」を聞きながら読みました。

    『子供は眠る』が、この短編集の中で1番好きです。
    今まで、ぼくらの中で何でも1番だった章くん。そんな章くんの言うことを聞くのは当たり前だったはずなのに、いつの間にか章くんよりも、泳ぐのが早くなった。
    自分に自信がつくと、リーダーぶってるヤツが面倒くさくなってきて、不満もムクムク育ってきて、それが中学生らしく溢れてきたのを感じました。
    それでも、章くんは優しい。兄弟がいなかった彼は、ぼくらのことを弟のように感じていたのかな。そして、自分が兄だからこそ、威厳を持ちたかったのだろうなと思いました。

    「でも、章くんに面とむかってガキ呼ばわりされた今、ぼくらは本気で腹を立てていたし、そうなると悪口もどんどん深刻な重苦しいものになっていき、その深刻さに、ぼくら自身が、うんざりしてしまった。」
    どんなに不満を持ったって、ぼくらも章くんを嫌いきれないのでしょう。

    『彼女のアリア』の嘘は突拍子もないけれど、嘘をついたその心は優しかったと思います。
    ぼくと藤谷さんの空間は、二人だけの心の安らぎの場で、学校の中にそんな秘密の場所を持てた二人が羨ましかったです。

    『アーモンド入りチョコレートのワルツ』のピアノ曲がまさにサティのおじさん自身のようでした。
    絹子先生も、サティのおじさんも変わった人だけど、奈緒も君絵も二人のことが大好きです。それは、二人が自分を受け入れてくれる、認めてくれる、大切にしてくれるとわかるからだと思います。


    3編とも、心の居場所を見たような気がします。それは、夏の別荘とか、旧校舎とか、木曜日のワルツ・タイムとか。

  • 森絵都さんの作品はあたたかくて、児童文学の時から好き。
    この短編集は、中学生くらいの子どもたちが主人公。
    その年代の頃には何とも思わない何気ない日常が、今はとても愛おしく思い出される。

    小学生の頃は、「高学年」っていう響きがなんだかとってもかっこよくて憧れたし、中学生になった時は、制服を着たら大人になったような気がしていた。
    大人になろう、大人にならなきゃって思う一方で
    心がついてこなくて、悩んだり、葛藤したりもする。

    森さんの本を読むと、「それでもいいんだよ」って肯定されているような、優しい雰囲気に包まれます。

  • 主人公が中学生の短編3つ~中学3年生を頭に夏休み新潟の別荘に集う従兄弟5人。不眠症に効くというアリアを弾く女子は虚言癖がある。変なフランス男性が出入りするピアノ教室~こんな刺激的な事を経験する中学生は幸せだな

  • 私も、そうだった。
    知らずに誰かを傷つけ、見栄から小さな嘘をつき、変化を怖れて嘆いた。
    ちょっと苦い気持ちを追憶しながら読んだら、鼻の奥がツンとした。
    その苦さすら、「いいんだよ」と言われたみたいだった。

    角田光代さんの解説があまりにも印象的で、心に残っている。
    否定するより、肯定するほうがずっと難しい。
    世の中は、きれいなことばかりじゃないから。
    ありのままを受け入れるやさしさと、向かっていく強さを、持とうと思った。

  • 再読。
    これは少年少女の「変わらないはずの日常の中で、変わっていく何か」を、美しい調べにのせた物語たち。
    子どもたちの世界だって、子どもであるからこその矛盾や残酷な時の流れがある。
    それを森絵都さんは、どれもきれいでやさしい世界に書いてしまう。
    物語に出てくる人物全てが、愛しく感じられ、一瞬の時を駆け抜けてゆく姿は、甘酸っぱくも輝いている。
    誰でも″大人になろうとする前のあの頃″を思い出させてくれる短編集。

    やっぱり森絵都さん好きです。
    大人になりきってしまわぬ間に、この作家さんに出会えて良かった。

  • 読んでる間、ずっと曲が頭を回ってました。ワルツに乗ってリズミカルに穏やかに読めました。

  • どの話も楽しく読めた.
    まるでワルツを踊ってるみたいに わら*

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      シューマンのワルツ?それにバッハとサティかぁ~絶妙なセレクトですね。読んでみようかな、、、
      シューマンのワルツ?それにバッハとサティかぁ~絶妙なセレクトですね。読んでみようかな、、、
      2012/03/22
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著者プロフィール

森 絵都(もり えと)
1968年、東京都生まれの小説家、翻訳家。早稲田大学第二文学部文学言語系専修卒業。
1990年、『リズム』で第31回講談社児童文学新人賞を受賞しデビュー。2006年、短編集『風に舞いあがるビニールシート』で、第135回直木賞を受賞。
2003年『DIVE!!』で小学館児童出版文化賞を受賞し、2008年に映画化もされた。2017年『みかづき』で第12回中央公論文芸賞を受賞、2017年本屋大賞2位。ほか、多数の文学賞を受賞している。

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