深緑先生のデビュー短編集。
まずそのバラエティ豊かさに驚かされる。第2次世界大戦下のフランス、ヴィクトリア朝時代のイギリス、昭和初期のの女学校の寄宿舎、中世北欧の辺境地と舞台も時代も自由自在だ。飽きることなく読ませていただきました。以下、特に印象に残った感想を
「オーブランの少女」
表題作。非常に映像喚起力の高い文章。
緑の庭園、白い館、マロニエ並木、キングサリの藤棚、白いスカート、青い瞳、赤いリボン、軋む歩行具。
なぜ海外が舞台?と思いましたが、なるほどこの残酷な世界はフランス郊外がしっくりきます。
そして残酷な世界には少女達がぴったりなのです。
「仮面」
本当に最終番になってから、ただ醜いとされてたアミラの秘密が記述されます。アミラとは決して分かり合えない隔たりを感じました。
「片想い」
昭和初期の女学校の寄宿舎が舞台。日本が舞台でも変わらず面白かったです。
「氷の皇国」
架空の国の辺境地。時代はわからないけど、多分中世の北欧がモデル(トナカイが住む、白夜と極夜が訪れる地)。最も読みごたえがありました。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年2月22日
- 読了日 : 2023年2月19日
- 本棚登録日 : 2022年9月22日
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