男性中心の、と言うか男性中心が当たり前で、その事に無自覚な社会に対する怒りや諦め、嫌悪感に根差した観察眼や辛辣な意見は面白かった。
本作は、エロ本に風俗店やAV嬢の漫画レポートを描く仕事をしていた作者による業界ルポである。作者にとって風俗業界は、男性中心社会の象徴でもある。最初は能天気な業界ルポだったものが、だんだんと冷徹な視線による業界分析に変わっていく。エロ本には「女」の事ばかり書かれているけれど、「女」からは程遠いと言う考察もその通りだと思った。
けれども、風俗嬢やAV嬢といった業界内の女性の記述になると突然鋭さが鈍る。業界内で生きていく女性を羨みながら軽蔑していると作者自身が書いているように、作者の感性は、業界内にいながらも一般人に近い気がする。そこで働く女性との間に距離があるのだ。その点が少し残念な気がした。
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- 感想投稿日 : 2024年2月9日
- 読了日 : 2024年2月8日
- 本棚登録日 : 2024年1月22日
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