大国の掟 「歴史×地理」で解きほぐす (NHK出版新書)

著者 :
  • NHK出版 (2016年11月8日発売)
3.78
  • (12)
  • (26)
  • (18)
  • (2)
  • (1)
本棚登録 : 292
感想 : 26
3

著者は大変知名度が高い方ですので、皆さんご存知だと思います。複雑な世界情勢を読み解く上で、歴史と地理的条件を掛け合わせ、地政学的観点から考えることの重要さを説いています。

東ドイツ建国に際しての、ドイツ国民民主党に旧ナチ党員を取り込む寛容な政策をソ連がとったことが、今日の旧東独におけるネオナチ運動の隆盛につながる、といった洞察や、メルケル首相が東独の社会主義統一党の青年組織に属していたことから、現在CDUの党首でありながらも、当時の価値観を保持しているだろう、といった考察、ロシアのユーラシア主義と旧東欧諸国のNATOへの取り込みがウクライナ問題の根底にあること、そしてサイクス・ピコ協定とISの問題、中国の海洋進出とキルギスの問題、アメリカやイギリスの孤立主義などなど。

著者は神学を修めた方だけに、宗教が国家間の関係に与える影響についても洞察が及んでおり、その観点の包括性に触れることにができるのもこの本の良いところだと思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史・政治・地政学
感想投稿日 : 2018年11月10日
読了日 : 2017年5月1日
本棚登録日 : 2018年11月10日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする