ナウシカ考 風の谷の黙示録

著者 :
  • 岩波書店 (2019年11月22日発売)
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本棚登録 : 610
感想 : 48
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「宮崎駿監督=ドストエフスキー」
27年前、夏休みの読書感想文をマンガ版『風の谷のナウシカ』で書いた自分は、あながち間違ってなかった。

筆者の赤坂氏は、マンガ版ナウシカは反-黙示録の試みであったと読む。そして、登場人物の声の多様さに触れ、冒頭に記したような結論に至っている。

一神教的ファンタジーの世界に惹かれる自分と、それに欺瞞を感じる自分。
飛行機械をはじめとするテクノロジーを偏愛する自分と、大樹をはじめとする原初的な自然を愛おしむ自分。
少女や母の中に聖性を認めたい自分と、それらに幻滅しつつも幻想を抱かざるを得ない自分の心性自体に嫌悪を催す自分。
宮崎監督の中にある多様な亀裂が、このマンガに多様な声と割り切れないエンディングをもたらし、多様な読みを呼び込んでいることに、改めて感嘆する。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年10月21日
読了日 : 2022年10月21日
本棚登録日 : 2021年3月30日

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