心が痛い。
読んでいてこんなに心が痛むノンフィクションは、他にない。
罪悪感といたたまれなさに、何度も読むのを止めようと思った。
日本には「入国管理局」の名の下に、平然と人権を蹂躙して「正義」を標榜する機関がある。どんなに証拠を積み上げても、難民として認定することを拒んでいるという事実がある。難民認定にも人種・国籍の差別がある。そしてそのことを、日本人のほとんどが知らない。知ろうとしていない。ウクライナ避難民受け入れの美談に酔って、「日本は良い国だ」という偏向報道の歪みのままに、日本礼賛に旗振りをしている。
吐き気がする。
自分自身の無知と無関心の罪深さに狼狽えるばかりだ。
本書の終わり近くでは、鎌倉市の方々や市行政の方々の、温かい支援や難民支援に向けた国への働きかけのことが紹介されている。けれど、結局はそれも「善意」のレベルで止まっていて、国を変えるための「政治」には繋げられていない。子ども食堂に感じるのと同質のものを、ここにも感じる。
ささやかな善意の積み重ねは不可欠だ。それを否定するつもりは微塵ない。自分自身もそうして動いている人間の1人だ。
けれど、それは結局、隙間埋めにしかならない。大きく壁がくずれているところにいくらパテを塗ったって、風は入るし水は漏れるし、いつかは建物自体が崩れ落ちる。
佐々さんの本を読むと、いつも、何かしなければという責め立てられるような思いに駆られる。
何ができるのか?どこから始めればいいのか?
答えはないけれど、まずは動こうと思う。
読者の責任はそこにある。
- 感想投稿日 : 2023年4月27日
- 読了日 : 2023年4月27日
- 本棚登録日 : 2023年2月1日
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