おまえさん(下) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2011年9月22日発売)
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本棚登録 : 3873
感想 : 362
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「ぼんくら」「日暮し」に続く、本所深川の同心・井筒平四郎が
主人公の、江戸を舞台のした時代劇シリーズ、第三弾。
・おまえさん 十九~二十一・・・弓之助の謎解きに衝撃が!
・残り柿・・・おでこの実の母おきえの動向と語る告白に政五郎は。
・転び神・・・賑やかになった丸助の周辺。助っ人淳三郎が登場!
・磯の鮑・・・逡巡する信之輔を立ち直らせたのは多くの人の言葉。
・犬おどし・・・二人の行方が判明・・・そして、おまえさん!
きっかけは様々です。それは些細なモノかもしれない。
たまたま聴いてしまったこと。
しかし、その後の人生は綱渡り。
それで生まれた因縁を断ち切って綱を渡り切れれば良いが、
因縁に飲まれて足を踏み外せば、奈落に落ち、悪事を重ねる。
おまえさん本編は謎解きから始まり、暴かれた首謀者たちの、
逃走で一旦幕が引かれる。
続く3編の事件の幕引きの間にも捜索は続き、
最後の1編で「おまえさん」の幕が閉じ、完結する。
男はどこまでも馬鹿で、女はどこまでも嫉妬やき。
恋は盲目と言いますが、これが物語の核に。
多くの登場人物が描く人間模様は、絡み合って終結を迎えますが、
相変わらずの方々のみならず、新しい登場人物も個性的で、
また、シリーズに登場していた人物も名前だけでも登場するのが、
なんとも嬉しい。それと終盤に登場する淳三郎が、良いんだな。
それにしても、人だなぁ。
恋もあれば嫉妬あり、人だからこその愛憎劇だなぁと、しみじみ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 推理
感想投稿日 : 2020年3月29日
読了日 : 2020年3月29日
本棚登録日 : 2017年10月3日

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