本書を読むきっかけは、MGS5のテーマになっていたことと、映画評論家の町山智浩がダークナイトのジョーカーについて話していた時に、本書が元ネタとしてあがっていたので読みたいと思っていた。本書は聖書での話がベースになている。聖書をしっかり読まなくても、ある程度は知っていた方が本書は楽しく読めるだろう。
読んで見ると、現代の作品とサタンの相性が良いのがわかる。ミルトンは神を尊敬して、サタンは完全悪として書いたのだろうが、デビルマンやジョーカーやMGSで見れるように、現代のフィクション好きは魅力的な悪役が大好きなのだ。ヒーローよりヴィランが注目されることは決して珍しいことでは無い。サタンは地獄に落ちても言う「天国において奴隷たるよりは、地獄の支配者たる方が、どれほど良いことか!」と。カッコいい台詞であり、サタンは天国への苦難の道を部下に行かせずに一人で行く。その時の台詞もリーダーとして、かなりカッコいい。神がいるから悪がいる。必要悪としての存在。物語に組み込まれるのは必然だと思う。
訳注の豊富さも素晴らしく、楽しく読めた。全ての文が、何かしらの引用やオマージュでは無いかと思うほど量が多い。書く方も大変だし、調べる方も大変だ。言語にも精通している必要があるだろう。私は、一度目は普通に読んで、二回目は訳注を読みながら読むと良い。なので、ページを行ったり来たりするため電子書籍ではなくて、紙の本で読むことを推奨する。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2019年3月27日
- 読了日 : 2019年3月22日
- 本棚登録日 : 2019年3月22日
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