ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー

  • 新潮社 (2019年6月21日発売)
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感想 : 1914
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かなり良かった。
EU離脱で揺れるイギリス。日本人の母とアイルランド人の父を持つ11歳の少年が、中学生になって成長していくエッセイ。

イギリスは貧富の差が激しい階級社会。
また、様々な人種が住んでおり 両親の生まれた国が違ったり、LGBTの人たちが住んでいたりとまさに多様性の大渋滞だ。

そういった友達の中で息子さんは色々な事を体験していくが、何と優しく聡明な子か!と感心しきりなのである。
自身がアジア系の顔立ちなので、上級生や見知らぬ大人に差別用語を言われたりする。日本に帰っても英語しか話せないのでガイジン、と言われる。そういった経験からか、友達同士のナイーブな問題に直面した時 真剣に考え行動することができている。また、母親も子供扱いせずに投げかけられた疑問に対して真剣に向き合っている。
そんな親子の会話がすごく興味深い。

固定観念があったり、差別するのは大概が大人。
少年たちはまっさらな瞳で未来を見つめているだけなのに。
日本も他人事ではない、もっと複雑で多様化する世界。でも彼らが台頭する新時代はきっと明るい。

「多様性はうんざりするほど大変だし、めんどくさいけど、無知を減らすからいいことなんだと母ちゃんは思う」

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年1月26日
読了日 : 2020年1月26日
本棚登録日 : 2020年1月8日

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