夫の死後の著者の周辺を記した短編を中心に編んだ『紅梅』の続編のような作品。自らが管をむしり取った行為がクローズアップされ、翻弄されたいきさつに対する家族の思いが綴られ、介護にあたった際に妻というより作家を優先したことを繰り返し悔いている。
偲ぶ会で科学の最先端にいる医者が「今日先生が来ておられましたね」という。著者にも時々声が聞こえるそうだが、それは「夫ならたぶんそういうだろう」と思った幻聴だと分析している。
冒頭の「消えた時計」では失いかけた視力を回復させるために思いきった手術を実施した際の記録。作家を業とする人の、治したいという強い思いが伝わってきた。
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- 感想投稿日 : 2011年11月6日
- 読了日 : 2011年11月6日
- 本棚登録日 : 2011年11月6日
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