佐藤優『「日本」論 東西の革命児から考える』
本書は朝日カルチャーセンター新宿教室で全三回行われた同じタイトルの講義に加筆修正・再構成して出版したものだ。僕が通っていた新潮社の『資本論』講座も、この教室で行われていた。KADOKAWAからの出版だから、新潮講座ではなかったのだろう。うちに案内も来ていなかった。
しかし、ぶっ飛ぶような設定だ。本書の出だしで佐藤さんは「今回は、これまで私もやったことのない難しいことに取り組みます」と最初にかましている。その謂いは「21世紀のいま、この時代の危機を読み解くことです。そのために二人の人物に焦点を当てます。一人はマルティン・ルターで、もう一人は日蓮です。テキストは、『キリスト者の自由』(岩波文庫)と、『立正安国論』(講談社学術文庫)になります」と。
そして『立正安国論』を読むにあたって、指定した講談社学術文庫版を「てんこ盛りでわかりにくい」として「私が見た中で、『立正安国論』に関して首尾一貫して説明がわかりやすいものは、一つしかありませんでした。それは『池田大作全集』(聖教新聞社)です」と。「読み下し文、解釈の両方ともわかりやすく、調べた中では、最も詳しい。この講義では主には扱いませんが、もし自分で勉強するのであれば『池田大作全集』の25巻と26巻を買って、じっくり読むのがよいと思います。」と、池田大作先生の『立正安国論講義』を評価したばかりか、受講生に学習を薦めた。
しかし、この後に続く『立正安国論』解釈は興味深い。日蓮大聖人の生涯に始まり、見出しを拾っただけでも、「日蓮は専守防衛的だった」「日蓮は信仰の対象に対して敏感だった」「創価学会のドクトリンからすると靖国神社に英霊はいない」「信仰をめぐる残実存をかけた戦いはある」そして公明党と創価学会を論じたうえで、『池田大作全集 第25巻』の157頁から158頁の国家神道批判を読み上げた。
読みながらワクワクしてくるフレーズが続々と出てくる。
- 感想投稿日 : 2023年6月22日
- 読了日 : 2023年6月22日
- 本棚登録日 : 2023年6月22日
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