シュガーアップル・フェアリーテイル 銀砂糖師と青の公爵 (角川ビーンズ文庫 73-2)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2010年8月31日発売)
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本棚登録 : 624
感想 : 76
4

大好きなシュガーアップルシリーズ第二巻。
再読後に感想を書きました。

一巻に引き続き、馬車操業をしながら職人生活を続けるアン。
一巻で雇った戦士妖精のシャルと、たまたま助けた恩を返させろと勝手についてくる水の妖精ミスリル。
食べていくのがやっとの極貧生活を送りながらも、それなりに仲良く暮らしていた人間一人と妖精二人。
尊敬すべき銀砂糖師の称号を得た職人であった、亡き母親エマの魂を送るためにも、年末はどこかの宿でゆっくり砂糖菓子を作って過ごしたいと願うアンたち。
そんな折、フィラックスを治めるアルバーン公爵が、報酬を破格の千クレスとして砂糖菓子職人を募っていることを知るのですが…。

アンがいかにして一年を過ごしているか、なんとなくわかる回でした。
一巻で大嫌いになった彼がもっともっと嫌いになり、最後には哀れになるような、読み手の感情の起伏を激しくさせるストーリー展開(笑)
ひたむきに「恩返しさせろ!」とくっついてくるミスリルが可愛くて仕方なかったです。
そしてシャル。相変わらず毒舌ながらも、いざとなればちゃんとアンを守ってくれるあたり、さすが百年以上生きたじいさ…妖精さんです…。
今回は銀砂糖師の資格を取るためではなく、砂糖菓子職人として依頼者からの難題に立ち向かっていく姿が見れましたが、さすが、アンの職人魂に惚れました。
心を病んだアルバーン公へ送った、アン渾身の砂糖菓子…。
心が温かくなり、切なくなり、最後にはほんのりと甘い砂糖菓子の香りと銀砂糖生成に失敗した時の苦さをちょっぴり残してくれたような、そんなお話でした。

本当に、このシリーズは読み手に沢山の感情を味あわせてくれます。
喜びも怒りも悲しみも、アンの作る砂糖菓子の甘さがちょうど良く「シュガーアップルシリーズ」の味として、私たちに届けてくれる。
これほど好きになった少女小説は今までにありません。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ライトノベル
感想投稿日 : 2011年6月2日
読了日 : 2011年月
本棚登録日 : 2011年2月5日

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