一般の人が普通に生活をしていたら、まず手にする事のないもの-拳銃。
それを思わず手に入れてしまった人々のお話。
最初のお話で、拳銃を手にしたのは普通の主婦。
彼女は同窓会の帰り、路上で寝ている所、一人の少女と出会い、1万円の替わりに小さな包みを受け取る。
その包みの中には拳銃が入っていた!
この本が面白いのは、時間が遡っていくストーリーだということです。
それからお話は主婦に拳銃を渡した家出少女、カラスを憎む若いサラリーマン、古ぼけたアパートに入居した元刑事、その部屋に以前住んでいたアナウンサーの女性へと話が進んでいきます。
話は進むのに、時間は過去にさかのぼっている。
だから頭が時々こんがらがりそうになりました。
拳銃についてとても詳しく書かれてあり、それを読むと実際に銃を手にした事のない私もその質感とか重さとかが想像できました。
それが登場人物たちが思わぬ物を手にした時の驚き、戸惑い、恐怖、昂揚感といった感情に同調するという事につながります。
そして遡るストーリーなので、前の持ち主はどういう人間だったのか、今の物語を読みながら自然に想像していく事にもなり、面白い。
彼らが手にしたモノはかなり重いものですが、その割にはストーリーは軽やかな印象でした。
とても読みやすい本です。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
乃南アサ
- 感想投稿日 : 2013年7月17日
- 読了日 : 2012年1月13日
- 本棚登録日 : 2013年7月17日
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