黒鳥の湖

  • 祥伝社 (2019年12月11日発売)
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主人公は有名な会社の社長。
財産もあり、家庭も順風満帆な彼だが、実はある秘密を抱えていた。
それは、若い頃、お金がなく、今の妻と結婚したいが許されなく困っていた頃に探偵の仕事をしていた彼が仕事を通じて知り合った依頼人を利用して今の地位を手に入れた経緯。
依頼者は自分の娘がある男に監禁され、娘の持ち物を送りつけられていた。
その後、娘は無事帰ってきたが、娘を監禁した男をつきとめて欲しいというものだった。
そして、それから何十年もたった今、同じような事件が起きる。
さらに、一人娘が急にグレて家出をし、娘の持ち物が送られてくるという事件が起きる。
娘はあの頃つかまらなかった同一犯人に監禁されているのかー。
何故、娘は急に非行に走ったのか。
やがて、心身共に疲れ果てた夫婦は寺の大黒さんにはまり、足しげく通うようになる。

過去が語られていた中盤までは面白く読めたけど、現在の話になってからイマイチになった。
読むのに割と時間がかかったため、この本の冒頭の話もすっかり忘れていて、後半でその話が出てきた時に、ああ、なるほどな・・・となった。

何となく、言葉にできないけど、どうにも読んでいて違和感やおかしいな・・・と感じる話だった。
登場人物の言動に、どこか私の感覚とは違う、ズレを感じるからだと思う。
人はそんなにきれいに自分の中にある本当の姿を隠しきれるものだろうか。
何十年もの付き合いの中でそれに気づかない、感じないもんだろうか。
私が主人公の奥さんだったら、とてもじゃないけど自分を痛めつけた人間に関係のある所にはいられない。
何故、この夫婦は・・・というか妻は娘に本当の事を話して捨て身で向き合わないんだろう。
寺に行く前に。
などなど。
ただ、色んな事柄をきれいにまとめてるな・・・と読み終えて思った。

この話を読むと、正義とか善とかいうのと正反対の所にある悪が実は紙一重にあるもののように感じた。
行き過ぎた正義、偽善、それってもう善を通り越して悪に姿を変えてるって事か・・・。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 宇佐美まこと
感想投稿日 : 2019年12月30日
読了日 : 2019年12月30日
本棚登録日 : 2019年12月30日

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