〇著者がiPad 片手に物語の中に入り込み、言葉について調査する。子どものときに夢想した感じで面白い。そのときは言葉の調査とかインタビューはしなかったけど。
〇辞書の引きくらべ、面白そう
〇自分の使っている言葉の適当さに気づく
〇目次タイトルだけでなく、たくさんの小説や物語から用例を縦横無尽に取り上げている
◎筋を追っていくだけが小説の楽しみではない。そこに語られた日本語に着目すると作者が必ずしも意図しない部分で、読者は、ことばの思いがけない面白さに気づくだろう。
辞書編纂者のガイドで物語のせかいを旅し、珍しい日本語や興味深い日本語を「用例採集」してみよう。
異色の小説探検。
プロローグ
本書で取り上げる用例は「誤用」と指摘するものではなく、「なぜ、このようなことばが生まれたのか」「作者はどうしてこのことばを使ったのか」を探究する楽しみを味わう。
『桐島、部活やめるってよ』朝井リョウ
…若者言葉の変遷。現代の物語でも著者の知識と読者への翻訳と、当時と今が入り混じっている
『風が強く吹いている』三浦しをん
…言葉はやわらかく形と意味を変え続けている
『残穢』小野不由美
…可怪しい。著者が好んで使う言葉。物語の雰囲気。
『オレたちバブル入行組』池井戸潤
…業界言葉。お仕事小説。
『チッチと子』石田衣良
…心の準備をさせる言葉。相手を思いやる。
『桜ほうさら』宮部みゆき
…言葉は、物語の中で書き割りのように
『横道世之介』吉田修一
…登場人物の背景を言葉で表す
『猫を抱いて象と泳ぐ』小川洋子
…言葉の東西。足か足下か。
『マチネの終わりに』平野啓一郎
…言葉の初出
『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』伏見つかさ
…一般小説を一冊読んだときと同程度の難しい語彙と出合うには、漫画は10冊、ラノベは3冊くらい読むといい(作者ざっくり調べ)
『八日目の蝉』角田光代
…方言とやおら問題。言葉の意味は時に反対になる。
『阪急電車』有川浩
…辞書に載る言葉、載らない言葉
『グラスホッパー』伊坂幸太郎
…語尾。作者の造語。
『ギケイキ千年の流転』町田康
…つづまる言葉
『チョコレートコスモス』恩田陸
…赤丸急上昇中を知っているか
- 感想投稿日 : 2022年5月7日
- 読了日 : 2022年5月10日
- 本棚登録日 : 2022年5月10日
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