児童虐待: 現場からの提言 (岩波新書 新赤版 1030)

著者 :
  • 岩波書店 (2006年8月18日発売)
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感想 : 25
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 これまでは,心理職や医師が書かれた本がほとんどであったが,この本は京都府宇治宇治児童相談所相談判定課長が著者です。
 児童相談所が抱える制度的な問題についても多くのページ数が使われている。個人的にも,職員の配置基準があまりにもお粗末なことについては痛感しているので,共感をしながら読みました。
 児童虐待が起こる4つの条件(健やか親子21)が示されています。それは,
1)多くの親は子ども時代に大人から愛情を受けていなかったこと,
2)生活にストレス(経済的不安や育児負担など)が積み重なって危機的状況にあること,
3)社会的に孤立し,援助者がいないこと,
4)親にとって意に沿わない子(望まぬ妊娠・愛着形成阻害・育てにくい子など)であること です。
 これまでの本にはない,児童相談所所長の判断による一時保護が人権侵害につながり,「子どもの権利条約」に反するおそれがあることなどについても書かれています。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 児童福祉
感想投稿日 : 2007年1月22日
本棚登録日 : 2007年1月22日

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