回転木馬のデッド・ヒート (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2004年10月15日発売)
3.45
  • (241)
  • (507)
  • (1076)
  • (87)
  • (18)
本棚登録 : 5385
感想 : 399
4

人の話を聞くことが好きだという村上氏が、人から様々な話を聞きそれを文章にした(仮にそれをスケッチと呼ぶ)。スケッチたちは話してもらいたがっている、と。
これらスケッチのことを、どこにも行き場がなくて体の中に「おりのようにたまってきた」もの、と表現している。
この入り方に興味をそそられ、前のめりになってさらりと読めた。一日経って思い出してみる、どんな話だったか。といえば、人生の中のほんの出来事、強烈ではないが妙に説得力がある話。誰かに打ち明けたいことってある、身近な人でなく違うカテゴリーの人に。こんなこと誰かにしゃべるのはじめてなんですって話だから面白い(その人にとっては人生において深刻な告白でもあるのだが)。道に迷っているとき、話す(誰かにヒントを与えてもらう、聞いてもらう)機会を誰も待っているのではないか。
対談を見ている気分にもなった。
好みは、タクシーに乗った男、プールサイドと雨やどり、他も好き。面白い短編だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年4月18日
読了日 : 2021年4月18日
本棚登録日 : 2021年4月18日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする