加賀の鋭い観察眼、加害者の家族にぎりぎりまで与える温情に胸を打たれた。隠された真実は、この家の中で彼等自身によって明かされなければいけない、このセリフの意味にぐっとくる。このような刑事さんばかりだったらどんなにいいか。
本当に馬鹿餓鬼、どうしようもなく甘い母親、軸のない父親には驚きであった。この前原家に欠けているものは、真実を見るということではないか。と、言っている自分も人に物申せる人間では決してない。だからかな、平凡な家庭など、この世にひとつもない、帯の言葉がとても身に沁みた。
ちりんちりんと、杖の鈴が鳴り、晴恵は足を踏み出す。
年老いた母の丸い背中は小刻みに震えていた。
ここ、とても心動かされた場面です。心のダム決壊というか。この晴恵の姿が自分の父親と重なった。ある時は家族の確執も、幸せな穏やかな時間もあって、全て背負った老いた背中にどうにもやるせなくなる。あんなに嫌がっていた杖、最近は欠かせなくなって。家族というのは一番身近で、分かり合えれば一番いいのですが、時には、一筋灘ではいかないこともあって。
嫌な感情だけで終わらせず、家族の情に触れるというバランスにほろりとさせられました。加賀親子の隠された繋がりで、更に情に訴えかけられ、とても感動しました。
スピーディな展開、丁度良い長さ。加賀恭一郎シリーズ、少しずつでも読んでいきたいです。
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- 感想投稿日 : 2023年5月27日
- 読了日 : 2023年5月27日
- 本棚登録日 : 2023年5月27日
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コメント 2件
Manideさんのコメント
2023/06/13
kazekaoru21さんのコメント
2023/06/15